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事業概要

事業概要

1.医薬品、医薬部外品及び医薬品原材料の研究、開発、製造、輸出入、販売及びこれらに関する
  基礎的研究の受託研究。

2.神経細胞死抑制薬あるいは神経保護薬のスクリーニング法の開発、受託研究

研究開発概要

現在使用中あるいは開発中の神経細胞死に対する予防治療薬は神経栄養因子をはじめとする神経保護薬、神経伝達物質の増強薬、有害蓄積物質の融解除去薬、抗酸化剤、などが主流で、充分な効果を発揮する革新的治療薬の開発が待たれています。これら治療薬開発のためには、培養系での神経細胞保護あるいは神経細胞死抑制の評価系、実験動物モデルでの効果の評価系、薬剤の体内分布と脳移行性の評価系、有効薬剤の合成系、安全性の評価系が必要であり、これらの評価系を経て安全性、有効性の確立したものについて第T相〜第W相の臨床試験を行い、治療薬として認可されます。当社は名古屋大学環境医学研究所における培養系、実験モデル系で確認された「活性化ミクログリアのグルタミン酸産生、放出抑制剤による神経細胞死の抑制」を利用し、脳移行性が高く、安全性の高い新規治療薬の開発を目指します。

神経変性疾患(アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、多発性硬化症など)の原因は不明であり、有効な治療法もほとんど存在しません。我々は名古屋大学環境医学研究所における研究から、変性神経細胞の周囲には活性化されたミクログリアが存在し、このミクログリア由来のグルタミン酸が神経傷害に最も重要なことを突き止めました(参考文献1.特許1)。さらに、活性化ミクログリアによるグルタミン酸産生、放出機序は生理的なものとは異なり非常に特異であることも発見しました(参考文献2、特許1)。 すなわち、生理的にはグルタミン酸はトランスアミナーゼの作用により産生され、ほとんど細胞外へ放出されずに細胞内の維持に使われるのに対し、活性化ミクログリアでは細胞外のグルタミンを器質としてグルタミナーゼによって産生され、ギャップ結合から放出されます。したがって、グルタミナーゼ阻害、あるいはギャップ結合阻害により、生理的なグルタミン酸産生系に影響を及ぼさず(副作用を誘導することなく)病的な活性化ミクログリア由来のグルタミン酸産生のみを阻害することが可能です(図1)。さらに、グルタミナーゼ阻害薬、ギャップ結合阻害薬ともに、リード化合物としての低分子化合物がすでに知られており、これらを用いて、より有効なアナログ合成が可能です(図2)。


図1.活性化ミクログリアでは生理的なグルタミン酸産生放出機序と異なり、グルタミナーゼによりグルタミンが産生され、ギャップ結合から放出される。


図2.リード化合物としてのグルタミナーゼ阻害薬とギャップ結合阻害薬


神経傷害を抑制する薬剤の開発には培養系及び実験モデル動物を用いた評価系が不可欠です。このために、神経細胞傷害の初期変化を指標として神経傷害因子を探索する評価系、各種神経変性疾患の実験動物モデルとそれらを用いた薬効評価系を確立しました。これらは、新薬開発に向けた有用なスクリーニング系として用いることが可能です。平成18年度からは名古屋大学環境医学研究所内に近未来環境シミュレーションセンターが設立され、実験モデル動物の行動解析も可能になっており、大学の研究施設と連携をとりながら評価系のさらなる開発を目指しております。


参考文献

1. TAKEUCHI Hideyuki, MIZUNO Tetsuya, ZHANG Guiqin, WANG Jinyan, KAWANOKUCHI Jun, KUNO Reiko, SUZUMURA Akio: Neuritic beading induced by activated microglia is an early feature of neuronal dysfunction toward neuronal death by inhibition of mitochondrial respiration and axonal transport. The Journal of Biological Chemistry 280(11): 10444-10454, 2005.
2. TAKEUCHI Hideyuki, JIN Shijie, WANG Jinyan, ZHANG Guiqin, KAWANOKUCHI Jun, KUNO Reiko, SONOBE Yoshifumi, MIZUNO Tetsuya, SUZUMURA Akio: Tumor necrosis factor-a induces neurotoxicity via glutamate release from hemichannels of activated microglia in an autocrine manner. The Journal of Biological Chemistry 281: 21362-21368, 2006.
3. 特許:PCT/JP2007/000050